さて天龍寺を後にしまして、祇王寺へ向かう。
途中、「どこからいらはったんですか?」
声をかけられる。
世間話をしているが、明らかに勧誘だ、なんだこれは。
奥に3000円と書いてある。こわい。
でも何ごともご縁さ、とお話を続けると、
江戸時代から建つお屋敷に入ってみませんか、ということ。
値段はやっぱり3000円。
いやーそれは…なんて断ろうとしても押しの強さに断れず入館。
生きて帰れるのか…という不安さえ抱いたが、
中へ入ると豪勢な寒桜がお出迎え。
おばちゃんのしつこい勧誘どおり、
古くからの調度品やら美術やらが飾られた昔ながらの日本家屋だ。
明らかに金持ちの家(というか別荘)だ。
こういう、○○邸みたいのは入ったことがあるが、
お触り禁止というか仕切りがないのは初めてだ。
聞けば壁に飾られた大きな水墨画は狩野探幽のもの。
おお…ゼロ距離…
古い茶器で甘酒と煎り茶をいただき、
少しばかりお話を伺ったりした。
3000円はどう考えても高いが、
一ついい体験は出来た。
これぞ非日常だ。
金持ちのやることはよくわからない。
贅沢であることはよくわかった。
おばちゃんに「清水の舞台から飛び降りると思って」と口説かれたが、
舞台から飛び降りて生きていられるとは限らないのだ。
繰り返すが、どう考えても高い。
わたしは節約のため、昼食を我慢すると決意した。
遅れ気味に祇王寺へ到着。
予定が狂った。
そうだ、「予定があるんで」と断ればよかったのだ。
でも「ご縁だし…」と思ってどうしても出来なかった。
京都にはご縁でいい思いをさせてもらったことが多々ある。
わたしにとってはそういう場所なのだ。
だからいいのだ。
さて祇王寺だ。
苔まみれ。
写真で見るより狭い印象。
しかし苔のうつくしいことよ。
なんでも、平清盛に愛された祇王がフられて都を追われて出家、入寺した悲恋の尼寺…なのだそう。
そりゃあこの質素さにもなるわね。
この旅で唯一見れた紅葉の一部(笑)
こんな遅れた小さな紅葉も乙なものです。
写真中央あたり、見えますか?
さて祇王寺から今度は高雄めぐり。
に向けて出発。
の途中、「たまごや」でたまごかけご飯をいただく。
これで350円。
おじさんがその場でたまごを割って醤油をかけてくれる。
先に書いたように昼ごはんは我慢しようと思ってた。
なんだけど、そりゃ食べたくはあったわけで、
そんな中この手軽さとお安さはありがたい。
すげぇおいしかった。
小腹を満たすのにオススメのファストフードです。
落柿舎のやや近く。
バスで金閣寺へ行ってから高雄もありだなぁなんて思ってたが、
バスがあまりにも来なくて外国人観光客と嵯峨小前のバス停で40分以上待つ。
金閣寺は諦めた。
乗り換えて高雄へ。
ただ乗り換えでJRバスに乗ってしまい、これが一日観光券の対象外だったため無駄な出費。
こういうの地味にへこむ。
なんとか着く。
まずは鳥獣人物戯画で有名な高山寺だ。
山奥だなぁ…
兎と蛙がお出迎え。
中は撮影禁止だったので写真はございませんが、
とてもよかったです。
縁側から眺める山々はとても美しった。
石水院をはじめ、寺院はけっこう年季が入っている。
それがまた一層、山と一体化しているようで気持ちが良い。
この後に行く寺は皆そうだったが、
山の中の寺には華美なところがない。
質素で厳かである。
それがいい。
ちなみに鳥獣人物戯画は模写が展示されており本物は拝めません。
グッズがやたら売ってたので買ってしまった。
缶バッジかなりかわいかったですよ。
あそこまで行かなきゃ買えないと思うとハードル高いが、
美術館とかに置いてたりするのかな?
さて石水院を出て金堂もめぐる。
アップダウンが激しいが諦めない。
奥に見えるのが金堂。
この石段がなかなかの急勾配で、
上からは階段があるのが見えなくて崖かと思ったほどだ。
高山寺、中に入れるのは石水院だけだが思いの外楽しめる。
ハイキングだ。
鞍馬寺ハイキングを思い出す。
さて三尾の名刹めぐりは始まったばかりまさに序の口。
序は栂尾山高山寺。
破は槇尾山西明寺。
ここへ来るのも石段をたくさん登る。
こちらはそんなに大きな目的にあらず、
外からお堂を眺めるだけで後にした。
さあ、ここからが大変だった。
序破ときて急は高雄山神護寺。
別に三尾の名刹を制覇するのが目的じゃなかったけども、
ここまで来たら意地との戦い。
にしても、遠い。
し、歩道なんてあってないような曲がりくねった車道をひたすら歩く(なかなか怖い)。
ようやく着いたー!と思ったら、
ヴぇぉぇぇぇ…
で、登りきったと思ったら、
また同じような石段と長〜いスロープが…
挫けそうになりながらも登る。
途中の茶店は全て営業していなくて誰もいない。
そういえばしばらく人と話していないどころか人を見ていない。
孤独感が増す。
で、さらに、
おお、門が見える!
… と言ってもこれはこの石段の中腹くらいです…どんだけ段々やねん…
登りきってようやく寺の中へ。
広っ!
この神護寺、紅葉シーズンにはまあ綺麗みたいなんですが、
ご覧の通り人も葉も閑散としています。
お堂をササっと見ながら「早くおかきたのうどん食いてぇ…」などと雑念よぎる。
んでね、奥に「かわらけ投げ」ってのがあるよと看板があるもんで、まあ行くじゃないですか。
そしたらよ。
この景色。
この日一番の感動だったかも。
何か報われた感が。
かわらを売ってるおばちゃんに話を聞くと、
「かわらけ投げ」はこの雄大な景色にかわらを投げるんだそう。
厄落としの意味があるそうで、日本各地にあるこの風習の始まりの地なんだそう。
こりゃやるしかあるめぇと、瓦を購入。
今年の汚れ、今年のうちに、だ。
今ならなんでも綺麗サッパリ落とせそうな、無敵な気持ちだった。
この景色が自分の心さえ大きく透明にしてくれるようだった。
3枚で二百円。
土に還りやすく作られてるのだと思われる。
3枚あるので三つの厄落としを念じる。
この向こうに投げる。
何の厄を投げたかはわたしと高雄の山々だけの秘め事である。
充分に景色を眺めて金堂を拝観(この金堂がまたいい!すぐ近くで仏像を拝める)して帰るかと思ったが、
あのかわらけ投げの景色をまた見たくて踵を返す。
するとかわらけ売店のおばちゃんが仕事をあがったところで、すれ違う。
わたしは照れながら「もう一度あの景色が見たくて」と伝える。
おばちゃんはニコニコと「ありがとうございます」と言う。
日が山に沈んだところ。
山、谷間に川が流れる。
せせらぎの音がよく聞こえる。
京都といえば神社仏閣、そしてやはり山だ。
この山ありてこの寺あり。
もちろん神社も同じこと。
鞍馬山もそれはそれはよかったが、
高雄もとてもいい。
ハイキング気分で楽しめる人にはオススメだ。
ひとり旅だったから気を使わず自分のペースで歩くことが出来てよかった。
ちなみにわたしの場合の自分のペースは休憩がまるでない。
なので、ご一緒するのをオススメしない(笑)
存分に神護寺を堪能し、門をくぐり帰るときにまたおばちゃんに会う(笑)
神護寺、また落としたい厄があったら行こう。
これで三尾の名刹を制覇したわけだが、
冬の山奥はとにかく人がいないということがわかった。
寒いし紅葉も終わってるし。
でも、静かに心を落ち着かせたい人には持ってこいの観光スポットだ。
もはや観光だということを忘れる。
ただ石段がこれでもかと待ち構えてるのでそこは覚悟しましょう。
神護寺から降りた後もまだまだあってもはや笑えた。
やっとの思いでバス停に到着。
グーグルマップなかったら無理だったかも、文明の利器ありがてぇ。
バスで少し寝て電車を乗り継ぎ(一日観光券は地下鉄乗れるのナイスですよ)、
大好きなおかきたへ。
なんと並ばずに入れた。
おかきたは並ぶのが当たり前で、待ち時間に寒さで震えるのも含めてうどんの美味しさに繋がっていたんじゃないかとさえ思い、
並ばないのはそれはそれで残念という鍛えられし我がドM精神を感じる。
この日は親子のミニと、
きつねうどん!!
親子は必須、今回もとてもとても美味しかった。
付け合わせの漬物がさっぱりといい口直しになるのと、
山椒をかけるとまた旨い。
これを頼まないなんて無理。
でも他の丼も食べてみたいなぁ、悩ましい。
きつねうどんは初めて。
やっぱりおうどんが美味しいね。
ツルツルと柔らかくて。
きつねのあまじょっぱさもよかった。
今度は夏に行って、ざるを頼んでみたいなー!
満腹満足となり、土産などを買い、
今度は宿のある大阪へ向かいましたとさ!
ひとり京都日記、おわり!

